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執筆者の写真naomikami

言葉にできない薬草


“森のくすり塾”という看板の横に、錆びた薬研が置いてある。 カキドオシやドクダミの生える小道をかさかさ降りていくと、素敵なお家が現れた。

軒先に、ふたり。

まだ暑い、夏の途中。

小川先生はチベットのアムチだ。

日本で唯一の、チベット医。


この鼻の下のできものに効く薬草はなんですか?

と、しかめっつらの私に、

冷やして、綺麗な水で洗うのが1番!

と先生は笑う。

薬草にはこんなにもたくさんの成分があるのに、

これが効くだなんて、決めつけることはできないよと言うのだ。

言葉にできない薬草。

やっぱり、

世界のほとんどは、

見えないものでできているんだ。

チベットには”健康”という言葉がないそうだ。

2020.8



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