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執筆者の写真naomikami

色川の小さな解体処理施設「だものみち」原裕さん

原さんは約10年前に出身地である、和歌山県那智勝浦色川地域に、

獣害対策の仕事でUターンしてきた。


今回Around the fire 6での訪問先である彼の話を、就職や人生の岐路にある人たちに、ぜひ聞いて欲しいと思ったので、ここに記すことにした。

流れるように、自然のままに。


三上:

なぜ猟師をやろうと思ったのですか?


原:

実は大学で就活全くしていなくて、そこから歯車狂い出したんですよね笑


そんなときに出身の色川地域の方から獣害対策の人材を探していると耳に入った。自分は大学のとき猪の研究していて、牛舎に入ってくる猪を防ぐ対策を研究していたんです。

で、地域のリーダーに親父がいた。


それでお前帰ってこいよになって。笑 

道ができていたんですね。


地元には、自分が手に職つけてから帰りたい、役に立てるようになってから帰りたい、と思っていた。


そいういう意味ではすぐに地域に力になれるなぁと。


三上:

地元に帰ってから、だれか師匠はいたのですか?


原:

地域には特に師匠はいなくて、全国的に色々な人を訪ねて学びながらやっていた。


三上:

切り開いてきたって感じですね。どれくらいで仕留めてから捌けるように慣れてきたのですか。初めて止め刺ししたときはどうでしたか。


原:

3年目くらいに仕事に慣れてきて。


初めて止め刺ししたときはやはりかなり抵抗があって、

親父も普通に農家で猟師やっていたわけではなくて。たまにあぁ、捌いているなって目にすることはあったけど。


最初は全然できなった。今はもう慣れたけどね。


三上:

大切にしている忘れちゃいけない想いとかありますか。


原:

今の話とかは振り返るようにしていて、1頭とれたら報奨金もでるし、ともすると鹿がお金に見えてきたら嫌やしという気持ちもあって、


そもそもの、彼らとどういうふうに対峙していくか、

共存していくかを常に思いながらやっている。


まぁ、何よりもこうして続けられていくのは、食べて美味しいというのがでかくて。

慣れたというよりも、鹿みたらうまそやな、という感覚があって。笑


処理する時も、食べてるイメージっすね。

この鹿が東京のレストランに届くんだなぁとか。丁寧に処理してあげないと、って。




ーー猟師とひとくくりにしてはいないだろうか。猟師といっても色々ある。

彼の話を聞いていて、私ははっとした。


原:

自分の肩書き名乗るとき面倒だから猟師というけど、

自分は獣害対策からの入り口なんで。


三上:

獣害対策は捕獲だけじゃないのですね。対策のひとつに捕獲がある、と。

神戸の知人の農家も、先日さつまいもを猪に全滅させられたり、

林業も一番困っているのは鹿だと聞きますね。


原:

被害を抑えるためにどんなことしていけばいいか、考えていく。

捕獲だけじゃなくて、柵張るのも、

獣が里と山との境界である山際の整備をしたりとか。


三上:

獣で困っている人を助けつつの、困っている獣も助けつつの。


原:

今年オープンした解体施設も、肉を販売する目的ではあるけど、これがあることで地域の獣害対策が円滑に進めばいいなという意味合いの一つ。


極端に言えば、獲れても獲れなくてもOK。なかったらないでよい。自分の中では、売るために奔走しているのでは意味が変わってきてしまう。


大きくは言えないけれど、被害があるのは自業自得な部分もあったりする。山に餌がなくなったとか、色々な要因を考えたらね。今までの積み重ねというか。

つまり人が重ねてきたことの結果。


三上:

獣害というけど、一方的ではないということですよね。


原:

獣害対策は、目の前の対策をしながら、

彼らとの共存の道をさぐっていく、というのが長期的な目標。

答えは分からないですけど、だから思考停止にならないように、考え続けていこうと思う。



「だものみち」という名前には、

けもの(けだもの)との共存を目指すみち半ば


という願いが込められている。




そんな原さんの元には、各地からたくさんの人が訪れる。

そして、今年は長野から興味をもって通って来てくれている方が、晴れて狩猟免許を取得して、冬の猟期シーズンはこちらに拠点を移してくれそうだ。



「彼が地域の外と中との良い窓口になってくれている。」

原さんとの共通の友人でもあるWhy kumano後呂さんは言っていたが、まさにその通りだろう。


次に窓口を叩くのは、あなたかもしれませんね。


「だものみち」





2019に訪れた時の写真

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